皆様こんにちは。KTリーダーです。
今回は、マンションのライフラインのひとつである「エレベーター」のリニューアル(更新)についてお話しします。
エレベーターの更新は高額な工事であり、住民の生活に直結するため、管理組合にとっても慎重な判断が求められます。
この記事では、方式の違い、工法、業者の選び方、保守契約の考え方まで、ポイントを整理して解説します。
■ エレベーターはいつリニューアルすべき?
- 法定耐用年数は約25年。
- 一般的には築20〜30年で更新を検討。
- 老朽化による安全性や快適性の低下、部品供給の問題などが発生する前の対応が望ましい。
■ エレベーターの方式:油圧式とロープ式
【油圧式】
- 主に低層マンション(4〜5階以下)で採用
- 油圧ピストンで上下し、静音性が高い
- 油の浮力を使うため、電気代がかかる傾向がある
- 油漏れや経年劣化のリスクがある
【ロープ式】
- 中高層マンションで主流
- モーターとワイヤーでかごを昇降
- 省エネ性能が高く、保守性にも優れる
■ 油圧式からロープ式への更新事例
- 近年は油圧式からロープ式への切替が増加
- 電気代の削減や油漏れリスクの解消が目的
- シャフトや機械室の工事が必要
- 工期は1.5〜2ヶ月程度と長めになる
■ 機械室レス(MRL)タイプへの更新事例
- 機械室不要で屋上スペースが空く
- 省エネ・静音性に優れた設計
- 外観の変更も抑えられるケースが多い
- 建物構造や電源設備の条件により対応可否が異なる
■ リニューアル工法の違いと費用・工期の目安
【制御リニューアル】
- 制御盤や巻上機など一部機器を更新
- 工期:約10日
- 費用:1基あたり約1,000万円未満が目安
- 短工期・低コストで現在最も一般的
【準撤去リニューアル】
- かごや巻上機など主要機器を更新
- 工期:約1ヶ月
- 費用:1,500〜2,000万円程度
- 外観も一新でき、コストと性能のバランスが良い
【全撤去リニューアル】
- 既存機器をすべて撤去し新設機器を導入
- 工期:約40〜60日以上
- 費用:約2,500万円前後
- 完全刷新が可能だが、費用と工期の負担が大きい
※ 現在は制御リニューアルを選ぶ管理組合が多く見られます。
■ 業者選定:メーカー系と独立系
【メーカー系(例:三菱・日立・東芝など)】
- 自社製品への対応力が高い
- 保守部品や遠隔監視などの包括的なサポートが可能
- 契約の自由度が低く、費用は高くなりがち
【独立系(例:ジャパンエレベーター・SECなど)】
- 複数メーカー製品に対応
- 費用が比較的安価で契約の柔軟性が高い
- 保守体制や部品供給の確認が必要
■ リニューアル後の保守費用の違い
【メーカー系の保守】
- 年間60万〜120万円程度
- 遠隔監視や緊急対応などの体制が整っている
- 契約内容が固定的で変更しづらい
【独立系の保守】
- 年間30万〜80万円程度
- 費用の抑制が可能
- 対応力に差があるため、事前の確認が重要
■ 住民説明会と合意形成
エレベーターのリニューアル工事は、工事期間中にエレベーターが使用できなくなるなど、住民の生活に直接影響を与えます。そのため、事前の住民説明会は非常に重要なステップです。
説明会では、工事の内容やスケジュール、停止期間中の対応(仮設階段の有無や荷物搬送のサポートなど)、騒音や粉塵対策、緊急時の対応方法などを詳しく説明します。
この説明会を通じて、工事への理解と協力を得ることが、スムーズなリニューアルの実現には欠かせません。
■ まとめ
エレベーターのリニューアルには、
- 方式(油圧式・ロープ式・機械室レス)
- 工法(制御・準撤去・全撤去)
- 業者(メーカー系・独立系)
- 保守契約の内容
といった様々な選択肢があります。
私はこれまで、管理組合の皆様と一緒に10件程度のエレベーターリニューアルを計画し、住民にとって最も納得のいく選択肢を選ぶお手伝いをしてきました。
この記事が、皆様のマンションでのエレベーター更新の参考になれば幸いです。
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