大規模修繕工事の進め方 〜成功のカギは「準備」と「合意形成」〜

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皆様こんにちは。KTリーダーです。

今回は、マンション管理の中でも特に重要で規模の大きい「大規模修繕工事」について、その進め方やポイントを解説していきます。

■ 大規模修繕工事とは?

大規模修繕工事とは、マンションの外壁、屋上防水、共用廊下、バルコニー、給排水管など、共用部分の広範囲にわたる修繕を行う工事のことです。

一般的には12〜15年周期で1回を目安に実施され、費用も数千万円から億単位に上ることもあります。

■ なぜ大規模修繕が必要なのか?

マンションは年数が経つにつれ、コンクリートのひび割れ、塗装の劣化、防水層の傷みなど、目に見えない部分から少しずつ老朽化していきます。

これを放置すると、雨漏りやタイルの落下など、安全性に関わる問題に発展する可能性もあります。

以前も述べましたが、人の体には自然治癒力がありますが、マンションにはありません。

だからこそ、計画的な修繕によって建物の資産価値を守ることが大切です。

■ 大規模修繕工事の進め方

管理組合が主体となって行う大規模修繕は、以下のような流れで進めるのが一般的です。

① 長期修繕計画の見直し

まずは既存の長期修繕計画を見直し、対象となる工事項目や時期、資金の状況を確認します。

※資金が不足している場合は、積立金の見直しや一時金の検討も必要になることがあります。

② 建物診断の実施

次に、専門業者による建物診断(劣化調査)を実施します。外壁、屋上、共用設備など、建物全体の状態を把握し、修繕の必要性を判断します。

③ 修繕設計コンサルタントの選定(必要に応じて)

診断結果に基づき、設計監理方式(コンサルタント方式)を取る場合は、設計事務所や建築士などを選定し、工事仕様の作成と施工監理を依頼します。

管理会社と役割分担しながら進めることが大切です。

④ 工事内容の決定・見積徴収・業者選定

設計図や仕様書をもとに、複数の施工会社から見積を取得し、比較検討します。

このとき、価格だけでなく、過去の実績や技術力、アフターサービスの内容なども評価のポイントになります。

さらに見落としがちですが、実はとても重要なのが、「現場代理人(現場監督)」の人柄や人間性です。

大規模修繕工事は数ヶ月から半年以上にわたる長期工事となることもあるため、住民との日常的なやり取りや近隣対応、緊急時の判断など、現場代理人の対応力が工事全体の印象やトラブルの有無を大きく左右します

実績のある会社でも、現場に立つ担当者の誠実さが欠けていれば、住民からの不信感につながることもあります。

そのため、面談などを通じて人柄も含めて評価することが、業者選定の成功につながると私は感じています。

⑤ 総会での承認

工事内容・業者・費用について、管理組合総会で組合員の承認を得る必要があります。

この際、住民の理解と納得を得るため、事前に住民説明会を開催することが一般的です。

⑥ 住民説明会の開催と確認事項

住民説明会は、工事の内容や目的を説明するだけでなく、住民の皆様が抱える不明点や不安を解消するための大切な機会です。

この説明会は施工業者が主体となり行います。

具体的には、以下のような点について説明したうえで、住民の方々からの質疑応答を受け付けます。

  • 修繕の目的と必要性(劣化の状況や今後のリスク)
  • 実施時期と工期(居住に与える影響)
  • 工事範囲と内容(バルコニーや玄関ドアなどの扱い)
  • 工事中の注意点(騒音・振動・洗濯物干しの制限など)
  • 費用と資金の内訳(修繕積立金との関係、一時金の有無)
  • 現場代理人の紹介と対応体制
  • 質問や意見への対応方法

住民の方々にとっては、工事の専門用語や工程は馴染みがなく、不安を感じる部分も多いものです。

だからこそ、必ず工事前に住民説明会を開催し、皆様の不安な部分を払拭したうえで工事に着手します。

⑦ 工事実施と監理

工事中は、住民への周知、日程調整、苦情対応、施工品質のチェックなどが重要です。

設計監理者や管理会社が連携し、工程や品質の管理を行います。

⑧ 竣工検査・アフター対応

工事完了後には、竣工検査・引渡しを行い、必要に応じて手直し工事も実施します。

また、アフター点検や保証内容の確認も大切な工程です。

■ まとめ:成功のためのポイント

大規模修繕工事を成功させるためには、次の3つが重要です。

1. 早めの準備(3年前から計画)

2. 住民との丁寧な合意形成

3. 価格・実績だけでなく、人柄も含めた業者選定

私自身、管理会社の立場から、住民の方々の不安に寄り添いながら、管理組合とともに誠実にこのプロセスを進めることが何より重要だと考えています。

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